派遣の履歴書の志望動機に書くべき内容は?企業に出す志望動機との違い

公開日:2019.01.31

派遣のキホン
 

履歴書の記入欄の中で、特に悩むのが志望動機です。派遣社員として働くことを希望していても、その段階ではまだ応募する企業が決定していないということがほとんどです。そうした場合には、どのような書き方をすれば良いのでしょうか。ここでは、通常の転職との違いをはじめ、派遣の履歴書における志望動機の役割や注意するポイント、具体的な書き方について解説します。

志望動機の役割は希望の職務内容を伝えること

派遣社員として登録する際には、応募先がその時点で決まっていない場合が多いため、志望動機に書くことがあいまいになりがちです。派遣社員として働く場合の志望動機には、どのような役割があるのでしょうか。

派遣社員における志望動機とは?

派遣社員の志望動機は、直接、応募企業に宛てたものではありません。そのため、志望動機の役割は通常の転職とは少し違うと考えて良いでしょう。派遣社員の場合の志望動機は、派遣会社に対して「どのような企業を紹介して欲しいのか」を伝える役割を持ちます。具体的な企業名を出すことはできませんが、「自分がこれからどのような職種で、どのような業務に就き、どう働いていきたいのか」を明確に伝えることで、自身の希望に近い派遣先企業を選定してもらえるようになります。

派遣会社の担当者に理解を深めてもらえる

志望動機によって、「なぜそうした希望を持っているのか」について明確な理由を提示できれば、派遣会社の担当者から、希望する会社や職種について納得してもらえると同時に、希望条件についての深い理解を得られます。スムーズに仕事を紹介してもらうためには、自分が考えるキャリアプランや希望職種を、できるだけ具体的に志望動機の中に盛り込んでいく必要があります。

履歴書の志望動機を確認するのは派遣会社の担当者

通常の転職活動では履歴書を確認するのは企業の採用担当者ですが、派遣社員の場合には登録先の派遣会社の担当者が読むことになります。そこにはどのような違いがあるのでしょうか。

派遣社員の志望動機は2通り

派遣会社の担当者に宛てた志望動機とは?

派遣社員の履歴書を読むのは、登録する派遣会社の担当者です。そのため、通常の履歴書における志望動機欄のように、「御社に応募した理由」「この会社で働きたい理由」を書くわけではありません。「派遣社員として働く理由」「希望する業界・職種とその理由」「希望する働き方とその理由」などを伝え、理解を求めることで、それに適した派遣先を紹介してもらうことを目的とします。

正社員での転職活動における志望動機では、「経営理念」「企業の指針」「運営」「企業活動」といった点を掘り下げて、そこに自分の思いを重ねるなどして志望動機としますが、派遣会社に対してはその書き方はできません。

紹介予定派遣では事情が異なる

ただし、派遣社員でも紹介予定派遣の場合はこの限りではありません。紹介予定派遣では、将来的に派遣先企業の正社員として雇用される可能性が大きくなります。そのため、当初は派遣社員の扱いであっても、履歴書を精読するのは派遣先の採用担当者です。

この場合は、通常の転職と同じく内容的には派遣先企業をターゲットとした志望動機を作成することになります。事前に丹念な情報収集を行い、「なぜその企業で働きたいのか」「社員としてどのような役割を担えるのか」など、よりピンポイントでの志望動機を作成する必要があります。

志望動機と自己PRの違い

履歴書の作成で混乱しがちなのが、志望動機と自己PRです。この2つをどう切り分けて考えれば良いのでしょうか。違いや書き方を見ていきましょう。

志望動機は「希望」、自己PRは過去の「実績」

志望動機と自己PRはざっくりと考えれば、未来と過去の関係です。志望動機は「これからなりたい自分」を表し、自己PRは「経験から得た強み」を表します。例えば、志望動機で「自分はこのような現場において役立てると考えているので〇〇のような職種を希望します」と述べているのであれば、その根拠や裏打ちとなるべきものが、自己PRです。つまり、志望動機を強力にバックアップする材料が、自己PRであるとも言えます。

志望動機で自分の希望ばかり伝えても、企業にとって本当に貢献する人材であるのかが説明されなければ、採用の決定打にはなり得ない恐れがあります。自己PRによって具体的なエピソードや実績、裏付けとなる数値などを示せれば、志望動機についての説得力が増して希望の職場への道が近づきます。

履歴書の志望動機欄に書くべきポイント

派遣社員の志望動機は、登録先の派遣会社にアピールすることを念頭に置いて作成しなければなりません。具体的にはどのような内容を考えて作れば良いのでしょうか。

志望動機の内容として意識すべきポイントとは?

派遣として働く場合の志望動機のポイントは次のように考えると良いでしょう。

派遣社員として働く理由

条件面ではなく、スキル面などから派遣社員として働くことを選んだ理由を述べると良いでしょう。本当の事情はどうあれ、「仕方なく派遣社員になる」といったマイナスのイメージをもたれることのないようにしてください。

転職の理由と応募の動機

前職からの転職で目指すキャリアやライフスタイル、派遣会社を選んだ理由を志望動機とするのも良い方法です。例えば、「営業畑に強い派遣会社である」「出版業界に精通している派遣会社である」などが挙げられます。派遣会社の得意分野と、転職理由をひもづけできれば、強力な志望動機にすることができます。

キャリアの希望や希望職種

「正社員への登用を希望している」「同業界で長く働きたい」などのキャリア観を伝えることも効果的です。また、希望職種へのこだわりを自分なりに表すことで熱意の伝わる志望動機にできます。自分の経歴を見返し、将来へつながる要素をよく探してみましょう。

入社後や将来のキャリアビジョン

将来を見据え、どのようなキャリアパスを描いているのかを明らかにした上で、入社後にはどのような部署で働くことを想定しているのかを伝えます。1つの職種の中にも、さまざまに経験値を広げられる可能性があります。希望する業種についてよく調べることで、具体性のあるキャリアビジョンが提示できます。

志望動機の書き方・書式

履歴書は読み手の視点を考慮し、より見やすく作成する必要があります。ここでは、志望動機の書き方や書式について見ていきましょう。

履歴書に志望動機を書くときのポイントとは?

履歴書に志望動機を書くときのポイントは、主に次の通りです。

派遣会社の担当者視点で作成する

志望動機の目的が、「スムーズに仕事を紹介してもらうため」であることを常に意識することで、内容的にぶれない志望動機欄となります。

希望と能力に一貫性を持たせる

自分が持つスキルや経験と希望する職種の相関性を伝え、担当者から仕事を任せることへの安心感を引き出します。

客観性のある志望動機にする

志望動機を書くときにはつい自分の側からばかり考えてしまいますが、より客観性のある内容とするための工夫も大切です。過去の経歴についてはエクセルなどで一覧表にしておくと、そこから志望動機となる良い材料を見つけることができます。

見やすく・分かりやすく、を心がける

だらだらと長い文章は、読みにくいだけでなく結論が見えにくいものです。履歴書に書く際には、できるだけ短い文を用い、伝えたいことを要約して書くようにしましょう。

箇条書きでも構わない

文章でうまく表現できないときには、箇条書きを使っても構いません。志望動機ではポイントのみをピックアップし、自己PRや職務経歴書で補足したり、面談の際に詳細を説明したりするようにしましょう。

悪い評価がついてしまう志望動機

自分ではそれなりに頑張って書いたつもりが、悪い評価がついてしまうということもあります。派遣会社に提出する志望動機で、なるべく避けたほうが良い例文を紹介していきましょう。

やってしまいがちな志望動機の間違った書き方とは?

派遣としての働き方や派遣会社によってケースバイケースで、一概に間違っているとは言えませんが、志望動機の書き方でやってしまいがちな文例は次のようなものです。いずれもアピールの根拠となる裏付けが不十分だったり、自分の希望だけをアピールしている傾向にあります。

どのような仕事がしたい、どのような働き方を望んでいるのかが伝わらない

「これまでは販売の仕事を長くしてきましたが、これからは人の役に立つ仕事をしたいと思います」
「親が高齢になってきて心配なので、実家の近くで働きたいと考えています。地元に貢献する人間になりたいです」

学習意欲をアピールポイントにしてしまう

「スキル不足だと考えているので、自分が成長していけるような企業で働きたいと思います」
「研修制度が充実している企業で、一から営業の基礎を学びたいと考えています」
「勉強する気持ちは誰にも負けません。〇〇の業界で一人前になれるよう頑張ります」

派遣先企業が任せたい仕事とスキルのマッチングが見えてこない

「ずっと経理の仕事をしてきましたが、今後は営業でバリバリと得意先回りができるような業務に就きたいと思っています」
「学習塾の仕事経験があります。IT系の企業で働くのを目指しています」
「人と関わるのは苦手ですが、従業員がたくさんいる大企業で働いてみたいです」

アピールの具体的な根拠が分からない

「〇〇の職種が昔から好きで、絶対に頑張れると思っています」
「周囲からは頼りにされることが多いと感じていて、新しい職場でもリーダー的な役割ができると考えています」

派遣社員として認められる志望動機にする

派遣会社の担当者が読んで納得できる志望動機が書ければ、派遣人材としての信頼性が増します。逆に「本気で働く気があるのか?」と疑われるような志望動機では、いつまでたっても自分が望むような派遣先を紹介してもらえないかもしれません。自分の希望に合った派遣先を紹介してもらうためにも、志望動機はしっかりと作り込む必要があります。

派遣会社の担当者が自信を持って派遣先に送り出せる人材となることは、自分の希望する職場や職種、キャリアアップを実現する近道でもあります。自己の経歴と気持ちを見つめながら、しっかりとした志望動機を作成しましょう。

(2019年1月現在)

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