AIとは?AIにできることからビジネスでの活用ポイントまで詳しく解説

公開日:2022.10.28

スキルアップ
 

IT業界のかたに限らず、近年は「AI」という言葉を見かける機会が増えているのではないでしょうか。ただ、「聞いたことはあっても、どのような意味・ものなのかよくわからない」というかたは少なくないでしょう。

本記事ではAIとは何かという基本的な部分をはじめ、AIの種類、AIでできること、AI導入を成功させるポイントについても解説します。基本から知りたい人はもちろん、今後ビジネスでAIを活用する予定があるかたにとっても有益な内容となるでしょう。ぜひ最後までお読みください。

AIとは何か?

まず、AIとは何か、概要について解説します。あわせて、代表的なAIの種類、歴史についても説明します。

AIとは

AIは「Artificial Intelligence」の略称であり、人工知能という意味を持ちます。AIは人間の脳と同様に学習を重ねることが大きな特徴であり、学習することでより精度の高い結果を出せるのです。

近年、AIの技術は目覚ましい進歩を遂げており、広い分野での活用が進んでいます。IoT、ビッグデータ、データマイニングといった技術もAIとの関係性が深いため、あらゆる分野で応用しやすいものだといえます。

AIの種類

ひとことで「AI」といっても、学習方法や特性によって、その種類はさまざまです。ここでは、AIが具体的にどのような種類に分けられるか解説します。

機械学習

機械学習とは、AIが膨大なデータの中から特定のルールや法則性を学習し、出力結果の精度を上げていく技術のことです。機械学習には「教師あり学習」、「教師なし学習」があります。ここでの「教師」は教師データを指します。教師データとは、正解となる出力結果のことです。

教師あり学習をイメージするために、例として機械学習を使って大量の画像データから「りんご」を検出するケースを考えてみましょう。どの画像がりんごに該当するのか、正解を学習させてから分析を開始する場合は、「教師あり学習」に該当します。この場合はりんごの形状、色などをベースにAIがりんごについて学習していきます。

一方、「教師なし学習」では正解となる教師データがないため、AIが自らデータ間の類似度を計算し、分析するための法則性を見出そうとします。

ディープラーニング

ディープラーニングは、分析に必要なデータが十分にそろっていれば、人の手を借りずに自動的に特徴や法則性を学習する技術です。

ディープラーニングは、広義には機械学習に含まれます。ディープラーニングで代表的な考え方が「ニューラルネットワーク」です。これは、人間の脳神経回路(ニューロン)を数理モデルで再現したものです。

目的別の分類

AIを使い道や、「汎用型」「特化型」と目的によって分ける考え方も存在します。さまざまな業界で広く活用されているのは「タスク特化型」と呼ばれるAIです。タスク特化型AIとは、特定の業務に特化して活用されるAIのことです。

タスク特化型AIは、ツールやサービスといった形で販売されていることがあります。独自にAIを開発・運用していくことは難しいですが、タスク特化型のAIであれば既存製品を活用できるため、導入にあたっての障壁は比較的低いといえるでしょう。

AIの歴史

ここでは、AIの歴史について時系列で解説します。

AIの始まり~第一次AIブーム

AIの始まりは、イギリスの数学者、アラン・チューリングが1950年に出した自著にて「機械は考えることができるか?」という問いを提唱したことだといわれています。その後、1956年に開催されたダートマス会議で初めて、AIに対し「人工知能」という呼び方がされるようになりました。

1960年代にはコンピュータの発達により第一次AIブームが起こります。決められたルールがある問題やパズルを解くコンピュータが出現し、AIに対する関心が急速に高まっていきました。しかし、複雑な事象の解決には力不足であることがわかると、次第にブームは収束してしまったのです。

第二次AIブーム~現在

1980年代には第二次AIブームが起こります。ここでは、第一次AIブームの時よりも高度な課題解決が可能な「エキスパートシステム」が開発され、AIが専門家の仕事を奪うようになるのではと考えられていました。

しかし、曖昧な事象の解釈に難があること、膨大な知識をコンピュータに覚えこませる必要があることなどから限界を露呈し、第二次AIブームも収束していきます。

2000年代に入り、第三次AIブームが巻き起こりました。2022年現在は、この第三次AIブームの真っ只中といえます。三度のブームを経てAIやAIを取り巻く環境は進化し、生活における身近な場面にも役立てられるようになりました。

第三次AIブームは収束の気配を見せておらず、我々の生活をより良くするための開発・研究が進められています。

AIで何ができるのか?

ここでは、AIを使ってできることについて解説します。

データ分析

AIの最も主要な用途は「データ分析」です。AIは高速な計算と膨大なデータの処理が可能であるため、分析はAIの得意分野といえるでしょう。用途も幅広く、商品の需要予測、水道管の劣化予測などと多岐にわたります。

AIを使った分析では、主にPythonというプログラム言語を活用して分析モデルを構築します。これには、プログラミングのスキルに加え、数学や統計学の知識が必要であるため、専門的な知見がないかたにとっては導入のハードルが高いともいえるでしょう。

しかし、近年は一から分析モデルを構築しなくともAI分析を行うためのツールが販売されているため、比較的手軽にAI分析を実施できる環境が整いつつあるといえます。

画像・音声認識

AIを活用すると、画像や音声といったデータについても正確に認識することが可能になります。画像や音声はデータに変換でき、AIでも認識することが可能です。

たとえば、金融業界における本人確認の手続きでは、スマートフォンで撮影した顔の画像と身分証明書の写真を照合する際にAIを活用しています。ディープラーニングを活用した画像認識では、横を向いた状態やサングラスをかけた状態でも正しく顔認証を行えるなど、技術の発達が著しい分野です。

自然言語処理

AIは、画像や音声と同様に文字情報もデータとして処理することが可能です。これは「自然言語処理」と呼ばれており、実際に文章の翻訳、要約といった用途でマスメディアにより活用されるケースが代表的です。

特に、スポーツの試合結果や株式市場の動向など、結果を迅速かつ手短に伝えることが重視される場面において、AIによる記事作成が行われています。

機械の制御

自動車、建機、センサー、ロボットといった機械の制御においても、AIの出番が広がりつつあります。

機械の制御におけるAIの特徴は、「一定の条件に対して機械的な対応を行うだけではなく、収集したデータの持つ意味をAIが理解・学習することで稼働を最適化できる」という点にあります。

従来は人の判断が必要とされていた領域でも、AI技術の発展から機械のみで判断できる範囲が広がり、自動化を実現しつつあるのです。

AI導入のメリット

ここでは、AIを導入することのメリットについて、4つの観点から解説します。

人手不足の解消

AIは人手不足の解消に役立ちます。AIの大きな特徴の1つ、「大量のデータを短時間で処理できること」が、不足している人手をフォローできるのです。

たとえば、チャット形式の問い合わせ対応において、顧客やユーザーからの問い合わせが集中すると、人手が足りずにさばききれなくなるリスクがあります。文字情報を認識して正しい回答を返すAIチャットボットを導入すると、定型的な質問にはチャットボットから回答できるようになり、限られた人員でもヘルプデスクを運用できるようになるでしょう。

意思決定のスピードアップ

AIは、組織の意思決定をスピードアップさせることにも貢献します。

ここで従来型の経営判断プロセスを考えてみましょう。経営層の判断には現場で得られたデータが必要ですが、これらはエクセルなどでまとめられた上で複数の部署を経由し、経営層に報告されるのが一般的でした。

しかし、これでは現場のデータが経営層に伝わるまでに数週間から数か月のリードタイムが発生し、経営判断が行われる頃には状況が変わっていることがあります。また、データに関する分析が必要な場合も、人の手で行うと時間がかかることがあるでしょう。

決められたデータの集計や分析をAIに一任し、その情報をリアルタイムで確認できるようにすれば、集計や分析、情報共有に時間を費やすこともなくなります。情報が速やかに伝わり、経営判断を効率化できるのです。

近年はBIツールと呼ばれるデータ利活用に特化したツールが存在します。BIツールのレポーティングやダッシュボードといった機能を使うことで、現場で得られたデータをリアルタイムでかつわかりやすく経営層に伝えることが可能です。

業務属人化の解消

日本のビジネスは、勘・経験・度胸を意味する「KKD」によって進められていた部分が多くあります。豊富な経験や長年の勘は個人の努力の賜物であり、組織の重要な資産です。しかし、属人化されたノウハウはベテランの退職や異動によって失われるリスクがあります。

一方で客観的なデータに基づきAIによって行われる業務は、担当者の習熟度による違いが生まれず、業務品質が安定します。AIによって業務の属人化が解消することで、一部の担当者への業務集中、引継ぎの不足によるトラブルを未然に防ぐことができるのです。

働き方改革

近年は慢性化する人手不足に小売業、飲食業、建設業といったさまざまな業界が苦しめられています。

AIは機械と同じく、動力さえあれば24時間365日稼働できる上に、短時間で大量の処理をこなせます。AIが業務の一部を代行することで、労働時間の短縮や有給消化率の向上などといった働き方改革につながるケースもあるでしょう。

AKKODiSでは、データのスペシャリストとしてデータ抽出、加工、分析を行うデータサイエンティストの採用情報を掲載しています。

採用情報:データサイエンティスト(Tech Consultant)の募集要項 | AKKODiS(キャリア採用)

AI導入のポイント

ここでは、実際にAIを導入する際のポイントについて解説します。

AI活用の目的を明確にする

AI活用においては、まず「何を目的としてAIを使うのか」「AIを使ってどのようなビジネスの知見を得たいのか」といった根本的な部分を明確にする必要があります。

AIで扱うデータは多岐にわたるため、組織として目指す目的に沿ってどのデータを対象にするのかを決めなければなりません。また、実際に検討を進めていく際には「AIの導入」が目的とならないよう、定期的に当初決めた目的へ立ち返ることが重要です。

業務の見直しも同時に実施する

AIの導入にあたっては既存業務の流れを見直すことも重要です。

たとえば、一部の業務にAIによる自動化のしくみが入ったとしても、その後に続く業務で人手による作業や紙を印刷する業務が残っていれば、業務全体が効率化されたとはいえません。AIの導入だけを目的としてしまうと、一部の業務のみが効率化されることに留まりがちです。

近年よく使われるDX(デジタルトランスフォーメーション)という用語には、IT技術の導入だけではなく、業務の見直しという意味も込められています。AIによるDXを実現するためには、業務の流れそのものをデジタル化に見合った形に見直す必要があるのです。

本格導入前にPoCを実施する

先述のとおり、AI導入にあたっては業務の見直しが必要であり、導入のプロジェクトは大掛かりなものになる傾向があります。そのため、本格的に導入する前に、一部の業務や部署で試行することで導入効果を見極める必要があるでしょう。

このように、本格導入前に試行することをPoC(Proof of Concept)と呼び、AI導入のコンセプトが実現できるかを試すという意味合いがあります。PoCを行うことで、組織全体に展開できるのかという判断に加え、費用対効果を見極めることも可能です。

費用対効果を見極める

AI導入の費用対効果についても、十分に吟味するようにしましょう。目的によっては、独自の分析モデル構築、専門人材の育成、ツールの導入といった費用のかかる取り組みが必要になる場合があります。

費用対効果は、AI導入によって「業務工数をどれだけ削減できたか」「ビジネスにおける付加価値をどれだけ創出できたか」で判断できます。費用対効果を正確に見極めるため、費用の見積はさまざまな前提条件を置いて精緻に行うことが重要です。

必要に応じて専門家の支援を受ける

AI導入にあたって独自の分析モデルを構築する必要がある場合、自社で技術者を育成できる大企業を除いては、外部専門家の支援を受けるべきでしょう。

AIの分析モデル構築にはプログラミング、数学、統計学といった幅広いスキルが求められるため、経験のある有識者の力を借りることが必要です。

近年はAIの社会実装が進みつつあり、AI人材の獲得競争が続いています。支払うべき報酬も高額になる傾向があるため、専門家の支援を打診する際には、自社の予算と費用対効果を考慮して慎重に進める必要があるでしょう。

当サイトでは、データサイエンティストのキャリア採用も積極的に行っております。

採用情報:データサイエンティスト(Tech Consultant)の募集要項 | AKKODiS(キャリア採用)

まとめ

AIは人工知能と呼ばれ、人間の脳と同様にデータを解釈する中で学習を重ね、より出力結果の精度を上げていくという性質があります。AIはビッグデータ、IoTといった最新技術との関わりが深く、機械学習、ディープラーニングといったさまざまなアプローチが存在します。

AIをビジネスで有効活用するためには、AIによって実現したい目的を明確にした上で、業務見直しを並行して進めつつ、PoCと呼ばれる部分的な適用から着手することが重要です。また、AIを導入するための費用は目的・規模によって異なるため、費用対効果の見極めも欠かせないでしょう。

AIは多様な業界で活用されている技術であり、AIの市場は今後も拡大していくことが予想されています。この機会にAIについて詳しく知り、ビジネスでの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

最新のコラム

AKKODiSコンサルティングに関するお問い合わせ