テストエンジニアとは?仕事内容・向いている人・資格などを紹介

公開日:2021.06.30

ITエンジニア職種
 

テストエンジニアとは、どのような職種・仕事内容なのかをご存知でしょうか。中には、テスターと混同している人もいるかもしれません。そこで今回は、テストエンジニアの定義と、テスターとの違いについて解説していきます。

気になる仕事内容や必要なスキル・知識、向いている人・資格といったお役立ち情報についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

テストエンジニアとは

テストエンジニアとは、テストの計画から改善提案までの工程を請け負う職種です。これまで、テスト工程は「プログラマーがそのままテストを行う」「経験の浅いメンバーがテスターとして担当する」といったケースが一般的でした。

しかし、近年は高品質かつ高セキュリティを求める傾向が強まっており、レベルの高いテストを行うための知識が豊富なテストエンジニアが担当するように変わりつつあります。

テスターとの違い

テスターとテストエンジニアの大きな違いは、担当業務の範囲にあります。テスターは、テストの実施が担当範囲です。テスト計画書やテストプログラムを与えられ、エビデンスを取りながらテストを進めます。未経験者の場合は、テスターの仕事を与えられる傾向です。テスターを経験することでITシステムの基本的な知識を学ぶことができます。

一方、テストエンジニアはテストを専門に計画・設計・実施できるエンジニアです。テスト計画書を作成し、必要に応じてテストを自動化するためのプログラムも組む必要があります。つまり、テストエンジニアには、プログラミングとテスト技法に関する深い知識が求められているのです。

テスターおよびテストエンジニアのいずれも、テスト工程を受け持つという点では同じです。しかし、テストエンジニアは「どういうテストをすればより高品質・高セキュリティが担保できるか」という知識が必要となります。

開発工程を担当しているプログラマーとは、また違う深い知見が求められる傾向です。

テスト自動化でもテストエンジニアは必要

近年は、テストを人手で行わずテストプログラムやテスト用ツールを活用して自動化するケースが増えてきました。そのため、テスターの仕事は減少傾向にあります。しかし、その一方で、新機能のテスト計画・設計など、テスト工程の中でも人が必要となる作業は依然として残っているため、テストエンジニアは必要です。

テストエンジニアの活躍分野

テストエンジニアは、IT系の開発会社やテスト・評価の専門企業などで活躍できます。業種を問わず、ITシステムの開発をする場合はテストが必要になるため、今後も活躍の場は十分にあるでしょう。

テストエンジニアに向いている人

テストエンジニアに向いている人の特徴としては、主に以下の3点が挙げられます。

  • 確実な報連相ができる
  • 仕様書を細かく読み込める
  • 単純な業務も正確に進められる

確実な報連相ができる

テスト計画書を策定しているときや、実際にテストを進めているときなど、必要に応じて、確実な報告・連絡・相談(報連相)が求められます。不具合を発見したときは、再現条件を確実に記録、報告しなければなりません。

仕様書を細かく読み込める

テスト計画書を作成する際、ITシステムの各種仕様書を細かく読み込み、すべてのテストケースを洗い出せる人もテストエンジニアに向いています。

単純な業務も正確に進められる

テスト仕様書の作成やテスト実施・エビデンスの取得などは、単純作業になる部分もあります。単純作業も手を抜かず正確に進められる人も、テストエンジニアに適しているでしょう。

テストエンジニアの仕事内容

テストエンジニアの仕事内容について、システム開発の流れに従って説明します。

テスト計画の策定

テスト計画の策定では、テスト対象システムの仕様調査、仕様書などからのテスト観点洗い出しの順番で作業を進め、作業ボリュームを見積もりながらテスト計画を策定。テスト計画を策定する際は、テストをする範囲、優先順位などを決めていきます。

決定内容をすべてテスト計画書としてまとめることも、テストエンジニアの仕事です。

テストの設計

テスト計画書に基づき、各機能のテストを設計。マトリクスチェックリストなどを活用し、エビデンスの採取方法などもすべて決め、テスト設計書にまとめます。

テストの実施

作成したテスト設計書に基づき、順番にテストを実施。テストの自動化を進める際は、テストプログラムの作成も必要です。テスト結果はエビデンスとして残します。テスト実施は、テスターに任せるケースも少なくありません。

テスト結果の確認・レビュー

テストが終わったらテスト結果の確認・レビューを行います。レビューは、同僚や上司などのメンバーを集めて行うのが一般的です。「本当に正しくテストされたか」「エビデンスの内容は間違いないか」という点を確認し、必要に応じて再テストも必要となります。

開発部門への品質改善提案

テストを進める中で、システムや機能に改善するべき点が出てきた場合は、開発部門へ品質改善提案を行います。

テストエンジニアに必要なスキル・知識

ここまで、付帯的にテストエンジニアの仕事内容を見てきました。では、これらの仕事をこなすために必要な知識やスキルには何があるでしょうか。以下、順番に解説します。

テスト工程と技法に関するスキルと知識

テストエンジニアは、テスト工程とテスト設計技法に関するスキルや知識が求められる傾向です。テスト工程は、一般的には以下の順番で進みます。

  • 単体テスト:プログラムを1行ずつ実行して動作確認(ホワイトボックステスト)
  • 結合テスト:モジュールを結合して1機能として動作確認(ブラックボックステスト)
  • システムテスト:システム全体を通して動作確認

それぞれの工程では、入力に対する出力を確認し、正常ケース・異常ケースを網羅します。上記とは別に、システムの性能を確認する「性能テスト」というテスト工程を設ける場合もあります。

テスト設計技法に関する知識も欠かせません。テストを効率良く、もれなく進めるための技法「状態遷移テスト」などを駆使することで、システムの品質を高める正確なテストが可能となります。

コストとリスクに関する知識と管理スキル

テスト工程で利用できる人員やコストには限りがあります。機能の重要度も勘案して、いかに効率良く、漏れのないテストを進めるかを考えて管理することも、テストエンジニアに求められるスキルです。

また、テストを行う上で不具合が発生しやすい機能と機能の間など、リスクを把握して対応(重点的にテストして効率的に品質を上げるなど)する力も必要です。

品質管理への造詣

テストエンジニアには、品質管理の知識も求められます。例えば、品質管理には「当たり前品質」と「魅力的品質」という考え方があります。

  • 当たり前品質:顧客がそのシステムに対してできて当然と考える基本機能を確実に動作させる品質のこと
  • 魅力的品質:性能のように顧客の評価に関わる部分の品質

テストエンジニアは、こういった品質管理に関する知識も駆使して、必要なテストを行い、システムの品質を効率的に上げていくことが求められます。

プレゼンテーションスキル

テストエンジニアは、テスト工程ごとにテスト結果のレビューや品質改善提案など、プレゼンテーションを行います。分かりやすく説明するための資料をまとめ、顧客に説明する際は、説明の粒度や専門用語の言い換えなどのプレゼンテーションスキルが必要です。

テスト自動化ツールを駆使するスキル

テスト自動化ツールは、テストの品質を効率良く上げる手法として注目を集めています。Web アプリケーションの 画面テストを自動化する「Selenium」やモバイルアプリのテストを自動化する「Appium」などは自動化ツールの代表例です。

こういったテスト自動化ツールに関する知識を駆使して、効率良くテストを進めていくことも、テストエンジニアに求められるスキルです。

未経験からテストエンジニアになるには

テスト工程を経験しなければ、テストを効率良く進めるスキルはなかなか身に付きません。そのため、IT業界未経験の人が、いきなりテストエンジニアを目指すのはハードルが高いでしょう。

ただ、未経験可の応募があるテスターの案件に応募して、段階的に業務経験を積んでテストエンジニアを目指すことは十分に可能です。未経験からテストエンジニアになるにはどうすればいいのか解説します。

ITエンジニアとして必要な知識を学ぶ

IT業界未経験であれば、まずITエンジニアに求められる基礎的知識を学ぶ必要があります。書籍やインターネットサイトなどを利用するなど、学び方は多種多様です。AKKODiS(アコーディス)の派遣・紹介予定派遣別ウィンドウで開くでは、未経験の方が効率良くIT業界の基礎から最新技術までの知識を身に付けられるようAKKODiS Academy別ウィンドウで開くをご用意していますので、ぜひご活用ください。

テスターやSEの派遣などで業務経験を積む

テスト関連の基礎知識を勉強で身に付けた後は、未経験でもOKの案件に応募して業務経験を積んでいきます。短期間の派遣エンジニアなら、未経験OKの案件が比較的見つかりやすいでしょう。AKKODiSでも、未経験OKの派遣エンジニア案件別ウィンドウで開くがあるので、ぜひご利用ください。

業務経験を積むことでテストに関する知識が深まり、テストエンジニアに求められる知識とスキルが身に付きます。

テストエンジニアに役立つ資格

テストエンジニアにとって必要な品質やテスト技法などに関する知識を身に付けるのに役立つ3つの資格を紹介します。いずれの資格も、難易度の違う種類が用意されているので、難易度の低い資格から順番に挑戦しましょう。

JSTQB認定テスト技術者資格

テスト技術者認定組織ISTQB別ウィンドウで開く(International Software Testing Qualifications Board)が主催するテストエンジニア向けの認定資格。IT業界未経験の初心者は「Foundation Level(FL)」の取得を目指し、テストに関する基礎知識を学びましょう。

ソフトウェア品質技術者資格認定

一般財団法人 日本科学技術連盟別ウィンドウで開く(JCSQE)が主催する認定資格です。こちらも、未経験者は入門レベルの初級ソフトウェア品質技術者から挑戦しましょう。初級ソフトウェア品質技術者の過去問題は公式サイトに公開されているので、どのようなレベルの問題が出題されるか確認できます。

基本情報処理技術者・応用情報処理技術者

ソフトウェア開発における基礎的な知識を身に付けていることを証明できる国家資格です。まずは、基本情報技術者を目指し、合格したら応用情報技術者を取得しましょう。

テストエンジニアの年収と将来性・キャリアパス

ITスキル研究フォーラム(iSRF)発表の「全国スキル調査 2016 スキル調査レポート」によると、品質保証に携わるエンジニアの平均年収は584万円。全体平均の502万円に比べて高い傾向です。

日本では、テストエンジニアの認知が低いため、テスターと同じ扱いになると年収は下がりますが、管理者としての経験を積むことで年収は高くなります。また、テストを自動化してもテストエンジニアの業務はなくなりません。

テスト計画からテストの実施までできるテストエンジニアは、システム開発がある限りは求められるため将来性もあるといえるでしょう。未経験からテストエンジニアになるには、まずテスターとしての経験を積んでからランクアップを目指すとスムーズです。

例えば、「テストエンジニアからセキュリティ系や品質管理のコンサルタントを目指す」「テストチームのリーダーになる」といったキャリアパスが考えられます。

テストエンジニアになるなら業務経験を積もう

テストエンジニアの仕事は、限られたリソースの中でITシステムの品質を効率良く上げるために欠かせない存在です。テストエンジニアは、テスターと混同されやすい仕事ですが、仕事内容は大きく異なります。

テスト計画やテスト設計などのスキルを求められるテストエンジニアを未経験者が目指すには、学習でITの基礎知識を身に付けることが大切です。また、派遣エンジニアの案件などで業務経験を積む必要があります。

AKKODiSでは、未経験もOKのITエンジニアの求人別ウィンドウで開くもありますので、まずはテスターから業務経験を積んでみてはいかがでしょうか。

(2021年6月現在)

AKKODiSコンサルティングに関するお問い合わせ