BPRとは?DXとの違いやメリット・成功させるポイントをわかりやすく解説

BPRとは、抜本的な業務再構築や業務改革を指すマーケティング用語です。BPRは企業のDX化の一端を担うと、近年注目を集めています。そもそもBPRとはどのような意味があり、導入することによってどのような変革をもたらすのでしょうか。

この記事では、BPRとDXの違いや、導入のメリット、成功のポイントを解説します。企業内のDX推進やBPRの導入を検討している方は、ぜひ本記事の内容を役立ててください。

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BPRとは

BPRは、「Business Process Re-engineering(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)」の頭文字をとった略称です。日本語では「業務改革」と訳されます。

BPRとは、コストや品質、サービス、スピードなどのような、企業における重大で現代的な業務プロセスを抜本から見直し、再構築することを意味します。

BPRとDXの違い

DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略称です。

ビジネスモデルではなくプロセスを変えるBPRに対し、DXはITを利用してビジネスモデルそのものを改革する点が異なります。

ただしBPRとDXは性質がまったく異なるわけでなく、近年BPRによる業務改革は、DX化の一環としてとらえられています。

BPRと業務改善の違い

BPRと業務改善の違いは、ゼロベースで企業全体を見直すか否かにあります。

業務改善は現在を肯定し、部分的な改善を目指す考え方です。一般的にはセクションごとに独自に業務内容を見直し、日常的な改善をして業務効率化を図ります。

一方でBPRは現状を一度否定して、企業活動の全最適化を目指し、一気に大きく変革を試みる考え方です。業務単位での改善ではなく、根本から企業を再構築します。

業務改善では難しいとされている、生産性向上やコスト削減などの効果がBPRでは期待できます。

BPRが必要とされる背景

なぜ近年、BPRがこれほどまで注目を集めているのでしょうか。BPRが企業で必要とされる背景を解説します。

DXが推進されている

まずDX推進を政府が重要視していることが、BPRに注目が集まる背景の一つです。

経済産業省はDX化がこのまま進まない状況を「2025年の崖」と称し、「2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性がある」と警告しています。

BPRはDX化の一部に内包されるため、DX化に伴い、BPRへの期待も高まっています。

多様な働き方に対応できる

時間や場所にとらわれない、多様で新しい働き方を実現するうえでBPRは有効です。テレワークを推進する際の環境整備の面でも、BPRは重要とされています。

また労働人口の減少により、慢性的な人材不足となっている業務の効率化や、フローの見直しが不可欠な状況になっていることも、BPRが必要とされる背景の一つです。

BPRのメリット

BPRをすると、企業にどのようなメリットがあるのでしょうか。BPRの代表的なメリットを解説します。

コストが削減できる

BPRを実施すると、全体をゼロベースで見直しながら業務の効率化を図れるため、人件費といった人的コストの削減が可能です。

また既存のシステムをクラウド化すれば、システムの保守や管理コストを削減できます。

BPR導入にはある程度のイニシャルコストがかかりますが、長期的な視点からみると業務全体のさまざまな無駄を削減し、結果として企業利益のプラスにつながります。

生産性が向上する

分業制をとっている縦割り組織や大企業などでは、業務が複雑化しているケースが多く、全体像の把握が困難です。

しかしBPRを導入すれば会社全体の業務の可視化が可能になるため、細かなプロセスでの無駄を洗い出し、生産性の向上が期待できます。

業務が効率化されると、他部署との連携が取りやすく、意思決定も速やかに行うことが可能です。

従業員と顧客の満足度が向上する

業務プロセスが効率化されると、長時間労働の軽減や働きやすい環境づくりの整備といった、働き方改革が実現します。

業務の目的を明確にし、それに携わる従業員と目的を共有すれば、企業へのエンゲージメントやモチベーション向上といった意識改革へつなげることが可能です。

業務へのやる気が高まると、顧客対応もスムーズになり、顧客満足度も向上することが期待されます。

BPRのデメリット

BPRには多くのメリットがある反面、システムやツールの導入などにコストがかかる点がデメリットともいわれています。

BPRは企業の今までの考え方を抜本から再構築します。したがって、新しい業務手順ややり方は、現場で働く従業員にとって大きな負担となる可能性があります。

よってスムーズなBPRの導入を目指す場合、BPRの必要性や重要性を従業員に事前に説明し、目的を共有することが欠かせません。

BPRの進め方

BPRは検討から分析、設計、実施、評価の流れで進めていきます。

効果的なBPRを推進するには、承認や意思決定のプロセスを改革するだけでなく、その改革スピードの向上を図ることも重要です。以下より各プロセスの詳細を解説します。

検討

まず「BPR(業務改革)|フレームワークを使った具体的な進め方を解説別ウィンドウで開く」で紹介した、DMAIC(シックスシグマ)やABC分析などのフレームワークを活用し、自社の現状を把握してから業務全体を可視化し、業務プロセスを洗い出します。

自社が将来的にどうなりたいか、改革目標を設定し、目的を明確化することで、BPRの成功率が高まります。決定した目的は、従業員間で共有することが重要です。

分析

「分析」のステップでは、先述した「検討」の段階で明らかになった自社の業務上の問題点や課題、無駄などを明確化します。

市場や競合企業を分析し、自社の強みや弱みなどをさらに徹底的に洗い出し、ビジネスプロセスの分析やBPRの効果を測定することで、後述する「設計」のステップの材料にします。

設計

「設計」のステップでは、分析データから洗い出された課題をもとに、方針や戦略を策定します。

取り組むべき業務手順を見直し、再編成することは、より良いプロジェクト設計を実現するうえで欠かせません。

細分化した要素をもとに業務を分析し、仕分けすると業務の優先度がつきやすくなります。優先度の低い業務はアウトソーシングも視野に入れると、業務効率のさらなる向上が可能です。

BPRを成功させるポイント

BPRを成功させるには、何を押さえておくとよいのでしょうか。BPRを成功させるポイントを解説します。

BPRの必要性・目的を全社で共有する

BPRは企業のやり方を抜本から変える大きな改革です。

従来のやり方を変えることは時に、現場の反発を招くリスクがあります。コストをかけてBPRを導入しても、従業員が意識的に業務フローを取り組めなければ、効果がありません。

BPR導入を検討の際には、全社で事前に理解を得るようにしましょう。

BPRを経営トップが推進する

BPRは部署やグループ会社などの単位ではなく、全社をあげての改革です。

よって経営トップがBPRの重要性や有用性を理解し、イニシアティブをとって推進することが求められます。

また経営トップとBPRのプロジェクトメンバーで、BPR推進の目的や最終的なゴールを共有したうえで、導入を進めることが重要です。

アウトソーシングする場合は業務を慎重に検討する

アウトソーシングの利用は、業務の効率化やコストダウンなどのメリットがある反面、アウトソーシングした業務に関するノウハウが社内での蓄積が難しい傾向にあります。

またセキュリティリスクのあるコア業務は、アウトソーシングには不向きです。どの業務がアウトソーシングできるかできないか、慎重に検討しましょう。

関連コラム:ITアウトソーシングとは|メリットやデメリット・失敗を避けるコツを解説

ITアウトソーシングとはシステムの開発・設計やサーバーの保守管理、トラブル対応などを外部に委託することです。ITアウトソーシングのメリットやデメリット・失敗を避けるコツなどを解説します。

ツール・システム導入を検討する

BPRを効率的に実施するには、ツール・システムの導入を検討することをおすすめします。

ツールを導入する際には、スモールスタートで始めて、小さな成功を積み重ねながら成果を実証していくことが重要です。

自社にノウハウがない場合は、コンサルティング会社をはじめとした外部への依頼も検討してみてください。

まとめ

BPRはビジネスモデルを抜本から再構築し、効率化を図ることです。対してDXはITの力でビジネスモデルや組織を改革し、新しいビジネスを創出することを意味します。

次のコラムでは、BPRフレームワークについて解説します。

BPRのフレームワーク、BPRの進め方、導入メリットや注意点などわかるように解説

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