業務引き継ぎの方法とポイントは?失敗しないためのコツ

公開日:2019.01.31

派遣のキホン
 

職種や雇用形態にかかわらず、社会人として仕事をしていると業務転換などで引き継ぎが発生するケースは珍しくありません。次の担当者の仕事に支障が出ないように、一般的には引き継ぎ期間を設けて業務を引き継ぎしてから業務転換や就業先の変更などを行うことが多いでしょう。

それでは、後任者への業務引き継ぎを滞りなく行うポイントはどのようなところにあるのでしょうか?業務引き継ぎの際のポイントや、引き継ぎ後のケアなどについて詳しく解説します。

業務引き継ぎってどうやればいいの?

業務引き継ぎをする場合、どのような方法で準備を進めていけば良いのでしょうか?引き継ぎをステップに分けて、それぞれのポイントについて解説します。

業務引き継ぎの5つのステップ

業務引き継ぎをステップに分けると、主に5つのような流れになります。

STEP1:担当業務をリストアップする

まずは、自分が受け持っている業務をすべてリストアップするところから始めましょう。リストアップする際には、業務の重要性にかかわらず、どんな小さなことでも自分が担当している業務を書き出します。うっかり抜けてしまうと、引き継ぎ先がなく、誰もその業務を担当していない状態になってしまうことがあります。自己判断でリストアップする・しないを決めないで、すべての業務をリストアップすることが大切です。

STEP2:引き継ぎスケジュールを作成する

「いつまでに」「どんな仕事を」「どのようなタイミングで」業務を引き継いでいくのか、スケジュールを作成します。業務の中には突発的な業務やルーティン業務があります。ある程度ルーティン業務がある場合は、そのルーティン業務の作業タイミングで引き継ぎをしていくと、実務作業のポイントや引き継ぐ人からの疑問点などを洗い出すことができるでしょう。

どうしても引き継ぎ期間中に引き継げない作業については、特に丁寧に引き継ぐことができるように時間をとってスケジュールを組んでおくことをおすすめします。

STEP3:引き継ぎ資料の内容を決める

次に、「どのような引き継ぎ資料を作成するのか」について確認しましょう。必要な引き継ぎ資料の内容としては、主に次のようなものがあります。

  • 社内におけるその業務の重要度・優先度
  • 各業務のフローチャート
  • その業務にかかわる社内外を含めた担当者名や連絡先
  • その業務に必要となる情報(ツールのアカウントなども)およびデータなどの保管場所
  • 実際に役立ったトラブルシューティング

特にデータの保管場所については、うっかり伝え忘れてしまうことも少なくありません。引き継ぎ書に共有フォルダのパスなどをしっかりと明記しておけば、次の担当者が引き継ぎ書を見ればデータへアクセスすることができます。

STEP4:引き継ぎ資料を作成する

前項で決めた引き継ぎ資料の内容を実際に作成していきます。ノートへの手書きでも構いませんが、見やすさや修正のしやすさを考えると、WordやExcelなどを使ってパソコンのデータで作成しておくのが無難です。

引き継ぎ資料を作成する場合は、どのような業務についてまとめているのかがひと目で分かるようにしておくと良いでしょう。初めてその業務を担当する人にも、資料に沿って作業すればひと通りこなせるような分かりやすい資料を作るように心がけましょう。

STEP5:後任者に引き継ぎをする

実際に業務を後任者へ引き継ぎ資料を渡して引き継ぎを行います。引き継ぎ資料を渡すだけではなく、実際にポイントを教えたり、一緒にやってみたりすることで理解度を高めてもらうことができるでしょう。

ポイントをおさえて業務引き継ぎをしよう

業務引き継ぎをスムーズに進めるためのポイントには、次のようなものがあります。

業務引き継ぎのポイント

業務や作業のつながりを明確に把握しておく

会社内における業務というのは多くの場合、その業務単体で完結するわけではなく、他の業務とのつながりがあります。例えば、Webポータルサイト事業を展開している会社のSE(システムエンジニア)だった場合、普段は仕様書や運用マニュアルに基づいて既存サイトの運用対応を行う作業がメインとなります。しかし、新たに機能追加や改修対応をする必要が出た際には、プロジェクトマネージャーやプログラマはもちろん、サービス企画担当者、Webデザイナー、マークアップエンジニアなどWebサイトのフロントやサービス内容の視点も考慮しながら、仕事を進める必要が出てくることもあります。

このように業務の全体像を明確にしておくと、後任担当者の業務理解が深まります。これにより、引き継ぎ後に業務フローが変更になるなどしても、効率的に対応することができるようになります。

業務・作業にかかわる関係者を明示する

業務や作業にかかわりのある社内外の関係者の名前や連絡先は、必ず記載しておくことをおすすめします。「不明点の指示を誰に仰げばいいのか」や「作成したデータなどを誰に送信すればいいのか」などが明確になります。また、その仕事のやり方について、ある程度知識を持っている人の名前も記載しておくと、後任担当者はより仕事をしやすくなります。疑問点が出た際でも質問しやすい環境が整うため、仕事が滞ってしまうリスクを少しでも減らすことができるでしょう。

手順は丁寧に記載する

仕事に慣れていると手順を記憶しているため、マニュアルなどを用意しなくても仕事を進めることができるようになります。引き継ぎ書を作成する場合も、つい同じような感覚で作ってしまいがちですが、自分にとっては当たり前のことでも、初めてその仕事を担当する人にとっては未知の領域である場合もたくさんあります。引き継ぎ資料を作成する場合は、初めて見る人でも最後まで仕事を回すことができるくらいに、丁寧な手順を作成するようにしましょう。

時間に余裕があればマニュアルを作成する

もし引き継ぎまでに時間がある場合は、作業手順を記したマニュアルを作っても良いでしょう。画面キャプチャや図などを用いて、視覚的に分かりやすいマニュアルを作っておけば、自分が引き継ぎをする際に役立つことはもちろんのこと、今後引き継ぎされていく場合にも役立ててもらえることができるでしょう。

一方的に説明して終わらないようにする

時間がない場合などは、一方的に引き継ぎの説明をして終わらせてしまうことも少なくありません。しかし、引き継ぎをされる側としては、一方的に話をされてしまっても引き継ぎの内容はしっかりと理解できないでしょう。説明の合間に、質問や意見などはないかなど相手の立場に立った説明を心がけましょう。

口頭のみの説明にせず、後で見ても分かるようにする

引き継ぎをする場合は、引き継ぎ書やマニュアルなどはデータで残すようにしましょう。口頭だけの引き継ぎになってしまうと、業務の全体像は伝わるとしても、作業手順までは引き継げません。相手がメモをとっていたとしても、書き間違えるリスクもあります。しっかりとデータに記録して残すことで、後から誰が見ても分かりやすい引き継ぎ資料となるでしょう。

業務引き継ぎ後のケアも大切!

引き継ぎの資料を作成と説明をすれば業務引き継ぎは完了しますが、次のような引き継ぎ後のケアも大切です。

業務引き継ぎ後に行うこと

業務引き継ぎが完了したとしても、それで業務から手を放してしまってはいけません。後任担当者が、実際に業務にとりかかるタイミングで声をかけてあげるようにしましょう。可能であれば、ある程度一緒に仕事をしても良いでしょう。引き継ぎ資料やマニュアルがあったとしても、実際に仕事をしてみて生まれる疑問もあります。

また、完璧なマニュアルを作ったと思っていても、うっかり抜け落ちてしまっていることもあるでしょう。引き継ぎが終わった後だったとしても、ひと声かけて「どのような状況であるかの確認」「分からないことがないかの質問」などのフォローも忘れないようにするのがおすすめです。

関係者への挨拶も忘れずに

社内はもちろんのこと社外の関係者などにも「業務から離れること」「後任担当者へ引き継ぎを行ったこと」についての挨拶メールを送りましょう。

全体的な挨拶の内容は同じであっても、一部分を相手に合わせて変更することで丁寧さを伝えることができるでしょう。また、重要な取引先や関係者などの場合は、メールだけではなく実際に出向いて挨拶と後任の紹介などをすることも必要です。

後任が困らないような引き継ぎをしよう

業務引き継ぎを行う際には、まずどんな小さな仕事でも構わないので、自分がやっている仕事のリストアップから始めます。その後は引き継ぎのポイントをおさえながら資料作成などを進めてみてください。また、引き継ぎ後は、実際に後任担当者が業務にとりかかるタイミングで、「分からないことがないか」「引き継ぎもれがないか」などのケアを忘れないようにすると良いでしょう。

(2019年1月現在)

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